幻のATH-CKR9LTD レビュー Made in Japanダイナミックドライバーの孤高の到達点
保有しているイヤホンではあまり限定物など持っていないのですが、その昔運よく手に入れたAudio-Technica ATH-CKR9LTDを紹介します。2014年のイヤホンですが、偶然なのか必然であったのかあまりにも高音質のため、なぜ世界でたった2000個の限定にしたのかとユーザから暴動が起きた(心の中で)という、幻のイヤホンです。
高音質で限定でしかも高価ということで当然??中華製パクリが横行し2,000個しかないはずが、未だにAmazonやヤフオクで新品が販売されているといった始末です。(よく似ているのですが、音質が酷いらしい)
たまーにヤフオクやイヤホン専門店で本物が中古で出ています、状態にもよりますが25,000円以下で本物ですと絶対に買いかなと思わせるほどの出来で、CKR10(中低音を軸に大変高音質であるが若干暗い)とCKR9(高音質であるが軽い)のいいとこ取りをされており、CKR10の中低域をそのままに、明らかにCKR10より楽しいサウンドに仕上がっています。CKR10より下のCKR9LTDではなくて、CKR11LTDでよかったんじゃないでしょうか。
価格はオープンですが発売時はCKR10と同額の37,800円で販売されていました。
まあCKR9のハウジング素材である切削アルミニウムハウジングにCKR10の純鉄ヨーク採用φ13mmドライバー×2を詰め込んでいるのでCKR9.5LTDかもしれませんね、再生周波数帯域はCKR10と同じ5~40,000Hzということです。もちろんバッチリハイレゾ対応です。
価格コムのレビューでは7人書込みで満足度5.00/5.00とパーフェクト!(すげー)皆さん大満足のようです。このクラス(フラッグシップ)に手を出す人の殆どはいくつもハイエンドイヤホンを持っているのは間違いないと思いますが、ハイエンドを渡り歩いてきたがこんなに楽しいサウンドを出すイヤホンは初めてだといったコメントが如実にこのイヤホンの凄まじさを物語っています。
レビューにあたり、いつものように比較対象を考えました。定価40,000円クラスの実力機との比較で、若干役不足な感は否めませんが、ダイナミックドライバー搭載の英国RHAの代表モデル、ベストセラーMA750iを選びました。
それでは外見から
シャー専用(通常の3倍音が良い)?と外見から思いますが、アルミ製で大きく、リミテッドモデルとしての品格も持ち合わせ見ているだけで満足してしまいます。
◆音質(10段階評価)
DAPはiPhone6とiPhone5s+OPPO HA-2(ポアタン)を使用しています。
レビューにあたり、いつも通りリファレンス音源としてはMETALLICAのブラックアルバムから「Enter Sandman」(ワイドレンジな曲で冒頭のラーズ・ウルリッヒのドラムのスネアでサ行、タ行の刺さりも確認できます)
それと、もう一曲は北欧デンマーク出身の女性ジャズ・ヴォーカリスト、シーネ・エイの5作目「ブルーな予感」から2曲目の「ハイウエイ・ワン」を使いしました。大変美しい曲でシーネ・エイのボーカルも見事ですし、録音も優秀です。曲冒頭のシンバルと女性ボーカルのツヤやピアノの音・響き、またベースの分離も確認できます。
超高域 :8/10 (比較参考MA750i:7/10)
高域 :7/10 (比較参考MA750i:8/10)
中域 :10/10 (比較参考MA750i:8/10)
低音 :10/10 (比較参考MA750i:8/10)
超低域 :10/10 (比較参考MA750i:7/10)
男性Vo. :9/10 (比較参考MA750i:8/10)
女性Vo. :9/10 (比較参考MA750i:7/10)
解像度 :7/10 (比較参考MA750i:8/10)
音場 :8/10 (比較参考MA750i:7/10)
刺さり具合:9/10 (比較参考MA750i:7/10)※数字が大きいほど少ない
音漏れ :8/10 (比較参考MA750i:9/10)※数字が大きいほど少ない
見た目 :9/10 (比較参考MA750i:9/10)※猛烈な主観
・高域、超高域:高域は凄まじい低域に支えられ程よく、サラサラ・キラキラ感も醸し出しています。 全く刺さることなく心地よい高域です。
・中域:中域のボーカル域は男性・女性ボーカルも得意なようで距離も近く表現力豊かに歌います。ほんの少し独特のリバーブ感を感じます。これが艶も含め表現をとても豊かにしているみたいです。
・低域: CKR9LTD最大の特徴はこの低域です。低域にここまで説得力のあるイヤホンは聴いたことがないです。安いイヤホンのただ低域が出ているだけの音とは隔絶の低域です。量があるのに締まりがよく、低域で音階が手に取るようにわかる、聴いていると嬉しくて身震いするような低域です。超低域の表現も含めヘッドホンでもここまで明瞭な低域が出るのは5万円を超えないと難しいのではと思います。
純鉄ヨーク採用のφ13mmドライバー×2の成せる技なのかと、ちなみにオーディオスピーカーでダブルウーハーの場合スピーカーサイズの1.5倍の低域が出るそうです。つまりCKR9LTDの場合ですと19.5mmドライバーと同等ということですので、当然かもしれません。
・イヤピースなど:イヤピースで付属されているものは標準的なものですので、好みに合わせて他社製の自分に合うものをチョイスするのが良いですね、低域を大事に高域を伸ばすのであれば、JVCのスパイラルドットもしくはFinal Eタイプがベストに思います。
<気に入らない所>
リケーブルできない
装着時にパキ・コリと音がする(CKR10もあったのがそのまま)
大きい
<総評>
12Ωですのでスマホからでも楽に音が取れるイヤホンの中ではナンバー1の低域の質を誇ります。
OPPO HA-2(ポアタン)とiPhone6直で大した違いを感じませんでした。
音楽が楽しめるのか?という項目があれば満点でしょう!
ケーブルも丈夫そうなケーブルですのでリケーブルできないことも、不安に思いません。何と言っても世界限定2,000個という特別感が凄いです。外に持ち出すなんて怖くて考えられません。同じものが手に入る確率は低いですし。
家で眺め、音を楽しみ、特別な時に外に連れ出してあげる。そんな感じでしょうか
何にせよ、所有感も含め大変満足のイヤホンですね